再婚夫婦の相続|知っておくべき相続の知識 

上田静香

婚姻・離婚・再婚の現状と特徴 

現代の日本では、婚姻や離婚の形が多様化しています。 

結婚は人生の大きな節目ですが、離婚もまた珍しいものではなくなりました。 

2023年の統計では、婚姻件数がおよそ48万組であるのに対し、離婚件数は約18万5千件となっており、およそ2.6組に1組が離婚している計算になります。 

その中で、再婚を選択する人も一定数存在します。 

最新の人口動態統計によると、2024年の婚姻件数のうち約5組に1組が再婚とされており、近年「再婚」は特別なものではなくなりました。新たな家族と人生を歩み始めることは、とても前向きな選択といえるでしょう。 

しかしその一方で、再婚家庭では相続の場面で問題が複雑になりやすいという側面もあります。特に、配偶者と子どもの関係性によって、相続人の範囲が分かりにくくなる傾向があります。 

「うちは再婚だけど、家族仲はいいから大丈夫」 

そう思っている方ほど、相続の場面で思わぬトラブルに直面することがあります。 

再婚は人生を前向きに進める大切な選択です。 

ただし、家族の形が少し複雑になる分、相続については初婚以上に注意が必要になります。 

この記事では、再婚夫婦が相続でつまずきやすいポイントと、今からできる対策について、できるだけ分かりやすくお伝えします。 

再婚家庭の相続が「難しい」と言われる理由 

相続の相談を受けていると、再婚家庭には共通した悩みがあることに気づきます。 

•  前の結婚の子どもと、今の配偶者との関係 

•  連れ子にどこまで配慮できるのか 

•  誰が相続人になるのか、実はよく分かっていない 

普段の生活では問題がなくても、相続は感情とお金が同時に動く場面です。 

「聞いていなかった」「そんなつもりではなかった」という小さな行き違いが、大きな争いに発展することも少なくありません。 

「誰が相続人になるのか」を正しく知っていますか? 

相続が起きたとき、法律で相続人と定められている人を「法定相続人」といいます。 

基本的なルールは、とてもシンプルです。 

•  配偶者は必ず相続人 

•  子どもがいれば、配偶者と子どもが相続人 

ここで特に重要なのが、前の結婚で生まれた子も、再婚後に生まれた子も、同じ相続人になるという点です。 

たとえ離婚して長年会っていなくても、親子関係は法律上なくなりません。 

そのため、再婚後の家族だけで相続が完結するとは限らないのです。 

連れ子には自動的な相続権がない 

一方で、再婚相手の連れ子は、何もしなければ相続人にはなりません。 

「一緒に暮らしてきたから、当然もらえると思っていた」 

「実の子と同じように考えていた」 

こうした気持ちがあっても、法律上は別の扱いになります。 

連れ子に財産を残したい場合には、 

• 養子縁組をする 

• 遺言書で財産を遺す 

といった、具体的な事前の対策が必要になります。 

実際によくある再婚相続のトラブル 

再婚家庭の相続では、次のようなケースが多く見られます。 

• 面識のない前婚の子が、突然相続人として現れる 

• 連れ子が相続人になれず、不満が残る 

• 相続人の連絡先が分からず、手続きが進まない 

• 配偶者と子ども同士が話し合えない 

これらの多くは、「相続が起きてから考えた」ことが原因です。 

相続は、起きてからでは選択肢が限られてしまいます。 

再婚夫婦こそ「生前対策」が必要な理由 

再婚夫婦は、初婚の場合と比べて家族関係が複雑になりやすいため、生前から相続対策をしておくことが非常に重要です。 

前の結婚で生まれた子、再婚後の子、連れ子など、立場の異なる家族が関わることで、「誰が相続人になるのか」「誰にどのように財産を残したいのか」が分かりにくくなりがちです。 

まず大切なのは、相続人の範囲を事前に確認しておくことです。 

生前のうちに、相続人となり得る人物を整理し、全員の連絡先や現在の所在を把握しておきましょう。将来の手続きを大きくスムーズにすることができます。相続が発生してから相続人を探すことになると、手続きが長期化したり、思わぬ感情的な対立を招くこともあります。 

また、すでに遺言書を作成している場合でも安心とは限りません 

遺言書があっても、遺留分を請求できる相続人が誰なのかを把握していなければ、後から想定外の請求を受ける可能性があります。ご自身の思いをきちんと実現するためには、「誰がどのような権利を持っているのか」を一度整理してみることが大切です。 

相続対策は 

単に「財産をどう分けるか」を決める作業ではありません。 

• 誰に、どんな思いで財産を残したいのか 

• 家族同士が争わずに済む形は何か 

• 誰が、どのように相続手続きを進めるのか 

こうした点を、元気なうちに整理しておくことが、残される家族への最大の思いやりになります。 

その中でも、特に効果的なのが遺言書の作成です。 

遺言書があれば、 

• 財産の分け方を自分で決められる 

• 相続人同士の話し合いを減らせる 

• 連れ子など、法定相続人以外の人にも配慮できる 

といったメリットがあります。 

「まだ早い」ではなく、「今だからできる」 

相続の相談でよく聞くのが、 

「もっと早く相談しておけばよかった」という言葉です。 

相続対策は、元気な今だからこそ、落ち着いて考えることができます。 

一度整理しておくだけで、将来への不安がぐっと軽くなります。 

最後に 一人で抱え込まないために 

再婚家庭の相続には、「これが唯一の正解」という答えがあるわけではありません。 

家族の数だけ、最適な形があります。 

だからこそ、 

「うちの場合はどうなるの?」 

「何から始めればいい?」 

そんな疑問を、専門家と一緒に整理してみることをおすすめします。 

家族の状況や思いを丁寧に聞き取りながら進めることで、ご自身では気づかなかった選択肢が見えてくることも少なくありません。 

初回のご相談では、現在の家族関係を整理したうえで、誰が相続人になるのか、どんな点に注意が必要かを分かりやすくお伝えします。 

「今すぐ必要なこと」と「将来に向けて備えておくこと」を切り分けて整理できるため、漠然とした不安が具体的な行動に変わっていきます。 

家族が争うことなく、安心して毎日を過ごせる未来のために、このコラムが、相談への第一歩になれば幸いです。 

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